ハチに刺されたら?
暖かい季節になると、色々な虫に刺されるトラブルが増えてきますが、最も注意したいのが「ハチ」の被害です。日本でよくみかけるのは、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチですが、特に、どう猛で知られるスズメバチは、7月~10月にかけて活発になりますので注意が必要です。
どのハチに刺されても、ハチの毒液によって鋭い痛みが出て、15分以内には刺されたところが赤く腫れあがり、熱を持ってかゆくなります。刺された直後は元気そうでも、1時間くらい経ってから吐き気や腹痛、じんましん、息苦しさなどの全身症状が出る場合がありますので、しばらくは安静にして様子を見ましょう。もし刺されたところ以外に症状が出なければ慌てる必要はありませんので、次の応急処置をしてください。
(1)すみやかに安全な場所に避難する
通常、ミツバチは刺した時に針を残していくので、2回以上刺されることはありませんが、近くの仲間を呼ぶことで再び攻撃されることがありますので、すみやかに避難しましょう。また、アシナガバチやスズメバチは針を残さずに何度も刺して攻撃してきますので、できるだけ早くに遠くの建物内に避難するようにしましょう。
(2)流水で洗い流す。針が残っている場合は取り除く
刺された部位を流水で洗うことで、ハチの毒を薄める効果があります。
もし針が残っているようなら、針がよく見えるように患部を指でつまんで、ピンセットや毛抜きでつまみ取りましょう。こうした道具がなければ、粘着テープで剥がしとるという方法もあります。指でつまみ取ろうとすると、かえって針を押し込んでしまって取れなくなったり、毒針についている袋が破れてさらに毒を体内に注入してしまう危険があるのでやめましょう。
ミツバチの針には返しがついているので、なかなか抜けないことが多いです。針を抜くのが怖かったり難しいようなら、無理をせずにクリニックを受診してください。
(3)患部から毒を絞り出す
患部を指で強くつまんだりひねったりしてハチの毒を絞り出します。
口で吸うと、指でつまむよりも簡単に絞り出せそうな気がしますが、かえって口から体内に毒が入る危険性がありますので絶対にやめましょう。
(4)患部を冷やす
保冷剤や氷のうなどで患部を冷やして毒が回るのを抑えます。手足を刺された場合は、毒が全身に回らないように心臓よりも高い位置に挙げておきましょう。
抗ヒスタミン剤やステロイド剤の入った軟膏をお持ちであれば、刺された部位に塗っても構いません。
アナフィラキシーショック
ハチに刺されると、ハチの毒に対する抗体ができます。再び同じ種類のハチに刺されると、この抗体が体内で過剰に反応して、非常に強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が出ることがあります。30分以内にショック状態に陥り、意識消失、血圧低下、呼吸困難によって死に至る危険性があります。
万が一、次のような全身の異変が起きたら、すぐに救急車を呼びましょう。
- 全身にじんましんが出ている
- 刺された部位のまわりが広範囲に腫れている
- 呼吸が苦しい
- 吐き気
- 腹痛
- めまい、動機
- 全身がだるい
- 意識がぼんやりしている、錯乱している
もしも救急車を呼ぶべきかどうか迷った場合は、横浜市救急医療センターに問い合わせて相談することができます。
ホームページ:https://www.yokohama-emc.jp/pc/syouni/syouni.html
電話:#7119
当クリニックでは、残念ながらアナフィラキシーショックの救急対応はできませんが、刺されてから1時間以上経過してショック症状がない場合は、刺された局所の外用治療を行いますのでご相談ください。
ハチの抗体検査
一度ハチに刺されたことのある人は、次に刺された場合にアナフィラキシーショックを起こす可能性が高くなります。特に、もともとアレルギー疾患のある方、ハチに刺されるリスクの高い職業(農林業や養蜂業など)やアウトドアが趣味の方は、同じ種類のハチに刺されないように注意が必要です。
何度も刺されたことがある方やアレルギー反応がご心配な方は、血液検査でハチに対するIgE抗体を検査することができます。刺された直後は体内の抗体が多く、正しく測定できませんので、1か月以上間をあけてから検査を受けてください。
また、過去にアナフィラキシーショックの既往がある方は「エピペン」というアドレナリン自己注射薬を携帯しておく必要があります。
当クリニックでは「エピペン」処方を行っておりますので、ご相談ください。