エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)

エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)

エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)

十分な水分もとらずに長時間同じ姿勢で座り続けていると、足の静脈の血行が悪くなり、下半身から上半身へ血が流れにくい状態になります。すると、足がむくんだり痺れを感じたりし、さらに水分をとらないでいると、血がドロドロの状態になり、足の裏や付け根、ひざの裏などに血栓(血の塊)が出来ます。その状態で立ち上がって血液が循環し始めると、やがて血栓が肺へ移動して肺の細い動脈血管を塞いでしまい、その先へと十分な酸素を送れなくなり、呼吸困難や低血圧、ショック症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。

この病気は、飛行機の乾燥した低気圧な環境の中で、エコノミークラスの座席のように狭くて、隣の人に気を使って動けないでいたり、トイレに行きにくいからといって水分を控えたりして、6時間以上同じ姿勢で座り続けることで発症するリスクが高いことから名づけられました。

しかし、エコノミークラス症候群を発症するのは、飛行機の中だけではありません。 
長い時間、同じ姿勢でデスクワークをしている人や夢中になってゲームを何時間も続けている人にも起こり得ます。また、震災などで被災している方が、車中で寝ることを選択し、一晩中同じ姿勢で眠りつづけ、トイレにも行かなくて済むようにと水分もなるべくとらずにいることで発症する例が多く報告されています。特に、若い年齢層のほうがトイレを我慢できることが裏目に出てエコノミークラス症候群になりやすいとも言われています。

エコノミークラス症候群の初期症状

足のむくみから始まり、足がしびれ、足の一部が変色していきます。足がむくんできたと思ったら、我慢せずに足をマッサージしたり、水分をとって血行が良くなるように促しましょう。また、利尿効果の高い飲み物(アルコールやコーヒー)を飲むと、体内の水分がさらに少なくなって脱水状態になり、血がドロドロになりやすいので、控えるようにしましょう。

エコノミークラス症候群になりやすいタイプ

  • 40歳以上の女性 
  • 生活習慣病のある人 
  • 足に静脈瘤がある(静脈が浮き出てコブになっている)人 
  • ピルなどの避妊薬を飲んでいる人(ホルモンの関係で血が固まりやすい状態です) 
  • 妊婦さんや出産後間もない人 
  • 子宮筋腫のある人 
  • 喫煙者

効果的なマッサージ法

狭い場所でも簡単にできるマッサージ法をいくつかご紹介します。

  • 手で足の指の間を前後左右に一本ずつ開く 
  • 足の指の間に手の指を入れて、足の指をギューッと手で圧迫しては離すという動作を繰り返す 
  • 足の内側を、骨の下に沿うようにして、くるぶしから膝まで両手の親指でギュッギュッっと押しあげていく 
  • 手をグーにして、膝の裏に当てて、足を上下に振る 
  • 股関節を両手でさすってリンパの流れを促す 
  • 靴を脱いで、あぐらをかいて座ることで股関節を広げ、背筋をピンと伸ばした状態でゆっくりと呼吸してリンパの流れを促す

横になれるスペースがあるなら、さらに仰向けに寝た状態で・・・ 

  • 足と手を上にあげてぶらぶら振る 
  • 両足を胸に引き寄せて両手で抱えて、ゆっくりと呼吸する 
  • 片足をまっすぐ伸ばして床におき、もう片方の足を上にあげて両手で支えて胸に引き寄せることで、あげた足の裏側の筋肉を伸ばす 
  • 足を開いて両足の裏をくっつけて上下にゆらすことで股関節を動かす

血栓が出来てしまったら?

血栓を溶かすための血栓溶解薬を内服したり、外科手術で血栓を取り除くといった処置になります。