風疹・先天性風疹症候群

風疹とは、感染した人の咳やくしゃみなどで空気中に飛沫した風疹ウィルスを、口や鼻から吸い込むことによって感染します。冬から春にかけて流行することが多い急性の発疹性感染症です。

潜伏期間は2~3週間で、通常は37.5度前後の軽い発熱が3日くらい続き、耳のうしろや首のうしろのリンパ腺が腫れたり、目の充血、軽い咳、麻疹によく似た赤い発疹(斑状丘疹)が顔から出はじめて、24時間以内に手足へと広がっていきますが、発疹の跡が残ることはなく、3日前後で自然に消えてしまいます。風疹に伴って関節痛や関節炎が出ることが多いのですが、まれに血小板減少性紫斑病や脳炎などの合併症を起こすことがあります。

大人が感染すると、関節痛がひどく、高熱が出たり、発疹が長引いて重症化することがあります。

風疹はウィルス感染症なので、すぐに効くような特効薬はなく、症状を緩和する薬を使って回復を待つという対症療法になります。

感染拡大に注意

風疹は、発疹が出る2~3日前から発疹が出た後の5日くらいは感染力がありますので、その時期に接触した人で、風疹の抗体がない場合は感染リスクがあります。風疹は、俗に「三日はしか」と言われるように症状が軽くて、風疹だと気がつかないうちに自然に治ってしまうことが多いのですが、それ故に、知らないうちに周りの人に感染を拡大してしまう恐れがあります。

最近の子どもたちは、生後12か月~24か月の間に1回目のワクチンを接種し、集団生活の始まる小学校入学前に2回目の接種を受けていますので、感染の拡大や重症化の問題は抑えられているのですが、昭和50年代から60年代生まれの男性が当時中学生だった頃は、男子に対する風疹ワクチンが定期接種化されていなかったため、この世代の男性には、ほとんど風疹の抗体がなく、風疹にかかる人が急増しており、社会的な問題となっています。実際、現在の風しん感染者の9割以上が成人で、男性が女性の3.9倍多く、男性は30~40代、女性は20~30代が中心です。

風疹が流行することで特に問題なのが、風疹の抗体を持たない妊娠初期(20週頃まで)の女性が感染すると、胎児にまで風疹ウィルスが感染し、先天性風疹症候群(先天性心疾患や白内障、難聴などの先天異常)になる恐れがあることです。

先天性風疹症候群とは

風疹の抗体を持っていない(風疹にかかったことがない、あるいは子どもの頃に風疹の予防接種を受けなかった等)母親が、妊娠初期に風疹に感染すると、その子どもに奇形が出る可能性が高くなります。特に妊娠4週目までが一番確率が高く、30~50%のリスクがあります。妊娠20週以降になれば、ほぼ大丈夫と言われています。

奇形の出方は様々ですが、三大疾患は、先天性心疾患 (心室中隔欠損症、心房中隔欠損症などの心蔵の障害)、目の病気(緑内障、白内障、網膜症、小眼症)、難聴で、その他、発育遅延や低体重も見られます。

公費で受けられる追加接種

先天性風疹症候群の発生を防ぐには、ワクチンで感染を予防するしか手だてはありません。

そこで、厚生労働省は、成人の感染拡大と先天性風疹症候群の発生を防ぐために、特に30代から50代の男性(過去に風疹ワクチンを接種する機会を逃している可能性がある世代)を対象に、風疹抗体検査を実施し、十分な抗体を持たない人が麻疹・風疹混合(MR)ワクチンを受けられるように風疹追加対策事業(第5期定期接種)を推奨しています。

対象者は、「昭和37年4月2日~54年4月1日までに生まれた男性」であり、実施期間は、令和元年6月17日~令和4年3月31日までです。当院にて、風疹抗体検査および予防接種を受けていただけます。費用は無料です。詳しくはこちらのパンフレットをご確認ください。

また、横浜市では19才以上の妊娠希望の横浜市民(男女問わず)を対象にした「横浜市風しん対策事業」を行っています。妊娠している方は受けられませんので、将来的に妊娠を希望している方は、事前に抗体検査を受けておくことをお勧めします。詳しくはこちらをご覧ください。風疹抗体検査は無料で、MRワクチンは1回3,300円で受けられます。
(当クリニックでは 「横浜市風しん対策事業」 は取り扱っておりませんのでご了承ください)

風疹の流行と先天性風疹症候群の発生を抑えるために、この機会に抗体検査を受けて、追加接種が必要であれば、積極的にワクチンを受けられることをお勧めします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です