高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう:痛風)

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう:痛風)

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう:痛風)

健康診断で「尿酸値が高め」と診断されたことはありますか?尿酸値が少し高いくらいなら、特に自覚症状もないため、「少し高いくらい、別に問題ない・・」と軽く受け止めていませんか?しかし、尿酸値が上がる原因と言われる内蔵脂肪の蓄積は、高血圧高脂血症糖尿病などの生活習慣病を併発することが多く、重症化すると動脈硬化や脳血管疾患や心疾患を引き起こす恐れがあります。

尿酸とは?

尿酸とは、筋肉を使う時にエネルギーの元となる「プリン体」という物質が肝臓で分解される時に作られる老廃物で、その大半は腎臓から尿に混じって排出されます。
尿酸の正常値は、男性で4.0~7.0ml/dl、女性で3.0~5.5ml/dlで、7mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。

高尿酸血症とは?

尿酸が過剰に作られたり、排泄機能が低下すると、血液中に尿酸が異常に溜まり、尿酸値が高くなります。尿酸値が正常値を超える状態が何年も続くと、血液に溶けきらなくなった尿酸が結晶化・沈着し、痛風や腎不全などのさまざまな病気を引き起こします。現在、日本の高尿酸血症患者は、600万人いると推定されており、最近では過食や食生活の変化、運動不足などが原因で30歳台で発症するケースが増えるなど、若年化が進んでいます。また、高尿酸血症の人の半数近くは、高血圧を併発したり、糖代謝異常のある人が多いなど、複数の生活習慣病を合併するケースが増えています。このように、複数の病気が密接に重なってあらわれる状態は「メタボリックシンドローム」と呼ばれ、併発する数が多いほど動脈硬化や心疾患を引き起こす危険度が高くなると言われています。

内蔵脂肪肥満が原因

高尿酸血症には、遺伝的な要素のほかに、生活習慣による要因が深く関係しています。高カロリーで偏った食事や外食の増加、多忙による運動不足や不規則な生活が続くと、内臓の周囲に脂肪がつき(内臓脂肪肥満)、代謝異常を起こします。そして、尿酸が過剰に合成されたり、尿酸の排出機能が低下することで、血液中の尿酸値が高くなります。

内臓脂肪肥満は、特におなか周辺(腸)に脂肪がつきやすいため、太っていなくても、お腹だけがぽっこり出ている人は要注意です。まっすぐに立って、軽く息を吐いた状態でおへそのある位置でウエストサイズを測り、内臓脂肪の蓄積状態をチェックしてみて下さい。男性で85cm以上、女性で90cm以上なら内臓脂肪蓄積が疑われます。(内臓脂肪は、CTスキャンの検査で診断されます。)

主な合併症

血液中の尿酸濃度が高いと、結晶化した尿酸が腎臓に溜まって腎機能障害を引き起こしたり、尿管・膀胱・尿道に溜まって尿路結石を起こします。また高尿酸血症は、高血圧症や高脂血症糖尿病などを併発することが多く、こうした病気が重なると動脈硬化へと進行する危険性が高くなります。

治療法と家庭でのケア

尿酸値が9~10mg/dl以上であったり、生活習慣の改善だけでは十分な効果があらわれない場合には、尿酸生成抑制薬や尿酸排出促進薬などの内服が必要になります。医師から処方された用量・用法を守って、決められた期間まで継続して服用して下さい。
ただし、薬の力で尿酸値が下がったとして、内臓脂肪が減らなければ動脈硬化のリスク度は変わりません。薬の服用を続けながら、食生活を中心とした生活習慣を見直すことが大切です。

生活改善のポイント

1日3食、規則正しく、腹八分目まで
できるだけ決まった時間に1日3食取るように心がけましょう。また、食べ過ぎは厳禁!腹八分目までにして、多いと思ったら残しましょう。

魚、野菜中心の食事、外食・アルコールは控える
今まで肉中心だった方は、魚や野菜中心のメニューへ切り替えるなど、バランスの良い食事をとるようにしましょう。また、カロリーが多くなりがちな外食や、尿酸の合成を促進する働きのあるアルコール(特にビール・清酒・ワイン)は控えましょう。特に、尿酸を合成する元になるプリン体を多く含む食品(たんぱく質のもとになる動物の肉や内臓など)の摂り過ぎには注意して下さい。

プリン体を多く含む食品例:肉汁、レバー・あんきもなどの内臓類、エビ、イカ、カキ、いくら、干物)

十分な水分補給
水分をたっぷり取って尿量を増やせば、尿酸の排出が促進されます。ただし、ジュースや果物ジュースに含まれる果糖は、尿酸の合成を促進してしまうので、かえって逆効果です。

適度な運動を週3回以上
ウォーキングやスイミング、サイクリングなど、1回20~30分程度の有酸素運動をして、脂肪を燃焼させましょう。息切れするような急激な運動(無酸素運動)は、かえって血中の尿酸を増やすことになるのでNGです。