インフルエンザ

インフルエンザ

インフルエンザ

インフルエンザは、毎年11月~4月にかけて流行するウィルス性の風邪疾患で、2月初旬ごろに流行のピークを迎えます。その年によって流行する型(ウイルス抗原性)は異なりますが、A型(A/ソ連型ウイルスH1N1亜型、A/香港型ウイルス)とB型の2つが主流で、この2つが同時に流行することが多いので、1シーズンに2回感染することも少なくありません。

インフルエンザのワクチンを接種しておけば、たとえ感染したとしてもウィルスによる体へのダメージや症状を軽くし、重篤な合併症やそれによる死亡を防ぐ効果があります。特に65歳以上の高齢者やぜんそく、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症を患っている人は、感染すると重症化しやすいので、医師と相談の上でワクチンを接種しておくことをお勧めします。

予防接種を受けられない人

  • 発熱のある人(37.5度以上)
  • 重篤な急性疾患にかかっている人
  • 過去にインフルエンザワクチンを受けてアナフィラキシーをおこしたことがある人
  • その他、医師が予防接種を受けることが不適当と判断した人

予防接種を受ける前によく医師と相談する必要がある人

  • 心臓病、腎臓病、肝臓病や血液の病気がある人
  • 発育が遅く、医師や保健師の指導を受けている人
  • 風邪をひきはじめたと思われる人
  • 予防接種を受けたときに、2日以内に発熱、発しん、じんましんなどのアレルギー症状が出たことがある人
  • 薬の投与または食事(鶏卵、鶏肉など)で皮膚に発しんが出たり、体に異常をきたしたことがある人
  • 今までにけいれんを起こしたことがある人
  • 過去に本人や近親者が検査した際に免疫異常を指摘されたことがある人
  • 妊娠の可能性がある人
  • 間質性肺炎、気管支喘息などの呼吸器系疾患のある人

インフルエンザ最新情報

インフルエンザの最新情報は、地域の感染症情報センター、保健所や国立感染症研究所のホームページで入手できます。
国立感染症研究所感染症情報センター
横浜市衛生研究所

感染経路

インフルエンザ感染後のウィルス量と症状の重症度の変化
出典:「インフルエンザの全て」日本ロシュ株式会社

主に患者の咳、くしゃみ、唾などによってインフルエンザウィルスが空気中に放出され、それを吸い込むことによって感染します(飛沫感染)。感染すると1個のウィルスが16時間後には1万個、24時間後には100万個にまで急速に体内で増えるほど非常に強い感染力を持っています。

主な症状

潜伏期間は非常に短く、24時間以内には悪寒、頭痛といった初期症状とともに38~40度近い高熱が出ます。48~72時間後には体内のウィルス量がピークにまで増殖し、頭痛、筋肉痛、倦怠感、食欲不振を伴って全身状態が急激に悪化してゆきます。高熱は3日~4日ほど続き、喉の痛みや咳、鼻水、下痢や嘔吐などの風邪に似た症状を起こす場合もあります。
高齢者は、体の免疫機能や肺機能が低下しているため、インフルエンザにかかると10日以上も熱が続いたり、合併症で肺炎を引き起こしやすくなりますので注意が必要です。乳幼児の場合は、咳・鼻などの風邪症状がひどくなる傾向があります。また、高熱による熱性けいれんにも注意が必要です。乳幼児は、4日目くらいに一旦熱が下がっても、また半日~1日後に熱が上がるという2峰性の発熱パターンを示すことが多くあります。

インフルエンザと普通感冒(風邪)の比較

インフルエンザ風邪(普通感冒)
発症のタイミング急激ゆっくり
発熱と期間39度~40度が3~4日間続く38度まで、1~2日程度
症状全身症状が悪化発熱・関節痛・筋肉痛・倦怠感・食欲不振、それに続いて鼻炎・咽頭炎くしゃみ、鼻水、鼻閉、咳などの上気道症状
合併症気管支炎・肺炎・脳炎・脳症・中耳炎・熱性けいれん併発することは少ない
その他の特徴目の充血、悪寒、頭痛倦怠感や関節痛などはない

合併症

気管支炎、肺炎などの呼吸器系の合併症が多くみられます。特に高齢者は、インフルエンザから肺炎に発展することが多く死亡率も高いので、早めに受診するようにして下さい。
乳幼児の場合は、中耳炎、副鼻腔炎、クループ、熱性けいれんなどの合併症が多く見られます。また、合併症で脳炎・脳症を起こして重症化し、毎年100人近くの子どもが死亡しています。

インフルエンザにかかったら?

インフルエンザにかかったかな?と思ったら、まずはクリニックを受診して下さい。インフルエンザが疑われる場合、検査キットを使えばその場で判別することができます。ただし、感染後6~10時間経過しないと、せっかく検査を受けていただいても検査キットの反応が偽陰性となってしまう事がありますので、来院時の患者さんの様子とこれまでの経過をみた上で検査されることをお勧めしています。インフルエンザの可能性が非常に高い場合には、抗ウィルス薬(商品名:タミフル)を処方いたします。できるだけ早めに服用すれば、それだけ早くウィルスの増殖を抑えて体へのダメージを最小限にとどめる可能性があります。

高熱のせいで水分が摂れなくなって脱水を起こしたり、咳や鼻水などの風邪症状が続いて体力を消耗すると、抵抗力が落ちて症状がさらに悪化しますので、自宅で安静にして、こまめに水分を補給するようにしましょう。高熱が続いて苦しいようなら、解熱剤を処方いたしますのでご相談下さい。インフルエンザの時は、アスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛成分を含んだ解熱薬など、使用してはいけない薬がありますので、自己判断で市販の薬を使わないようにして下さい。

家庭でのケア

インフルエンザが流行している間は、人混みや繁華街への外出をできるだけ控えて、外出する時にはマスクを着用しましょう。帰宅したら、うがい・手洗いを忘れずに、室内では加湿器を使って空気が乾燥するのを防ぎましょう。体力が低下していると感染しやすくなるので、十分に睡眠・栄養を取って体の免疫力を高めましょう。
家族の人がインフルエンザにかかってしまったら、マスクを着用させることで咳やくしゃみによるウィルスの飛沫を抑えて二次感染を防ぎます。部屋はこまめに換気し、加湿器などを使って空気が乾燥しないように気をつけましょう。タオルや食器の共有も避けたほうがよいでしょう。

インフルエンザ予防接種の効果

インフルエンザのワクチンを接種しておけば、たとえ感染したとしてもウィルスによる体へのダメージや症状を軽くし、重篤な合併症やそれによる死亡を防ぐ効果があります。特に65歳以上の高齢者やぜんそく、慢性心不全、先天性心疾患等の循環器疾患、糖尿病、腎不全、免疫不全症を患っている人は、感染すると重症化しやすいので、医師と相談の上でワクチンを接種しておくことをお勧めします。

インフルエンザの流行株は毎年変化するのですが、ワクチンの中にはA型2種類とB型1種類が含まれているので、基本的にはどちらの型にでも効果があります。ワクチンの効果は、接種後2週間~5ヵ月間は持続されますので、流行し始める11月下旬~12月上旬までには接種しておきましょう。13歳未満は2回接種、13歳以上は1回の接種となります。

インフルエンザワクチンの中には、ごく微量の鶏卵タンパク成分が含まれるため、卵アレルギーがある場合にはアレルギー症状が起こることがまれにあります。接種前に医師とよく相談してから接種するかどうか判断して下さい。また、授乳中のお母さんがワクチンを接種しても、母乳を介して赤ちゃんに影響することはないので心配ありません。

インフルエンザワクチンを受けた後、他の予防接種は、原則1週間以上たってから受けてください。

予防接種当日の注意点

  • 注射したところは、そのまま1分くらい軽く押さえて下さい(もまなくても結構です)。 今日は激しい運動は避けてください(入浴はかまいません)
  • 予防接種の副作用のなかで、めったにはないのですが、注射の直後に痛み反応で、急に具合の悪くなることもあります(アナフィラキシー)。15分程度はクリニックにすぐ戻れる場所にいるか、連絡がとれるようにしておいて下さい。

副反応

接種した部分が赤く腫れたり、痛くなることがありますが2~3日でおさまります。まれに発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などの副反応や湿疹、じんましんなどのアレルギー反応が出ることがありますが、これも数日で治ります。腫れや発赤がひどい場合はご相談下さい。

費用

ワクチン接種は健康保険が適用されないので、原則として全額自己負担となります。(65歳以上の方、60歳~65歳の方で心臓やじん臓、呼吸器等に重い病気のある方などは、予防接種法による定期の予防接種の接種対象となります。)